新卒入社からおよそ3年未満で転職を志す、いわゆる「第二新卒」が近年増えています。厚生労働省の調べによると、令和2年3月時点の「3年目までの離職率」は、全体の32.3%に上るとのことです。退職者のうち10人に3人は第二新卒に該当するため、20代の転職は決して珍しくないことがわかります。
就職して短期間での転職は「採用側の企業にマイナスイメージを持たれてしまうのではないか」と躊躇してしまう方もいるでしょう。重要なのは、第二新卒の利点や、企業が何を求めているかを理解することです。これらを踏まえて転職の準備を行なうことで、企業にプラスのイメージを持ってもらうことも可能なのです。
本記事では、第二新卒が転職を成功させるために知っておくべきポイントや、転職市場での需要について解説します。
【参照】
厚生労働省
『新規学卒就職者の在職期間別離職率の推移』
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000137940.html
第二新卒は転職市場で「需要あり」
転職市場において第二新卒の存在は、いまや当たり前になっています。近年では第二新卒向けの求人サイトが立ち上げられたり、20代の若手向け転職イベントが開催されたりと、その需要は右肩上がりです。転職サイトのリクルートエージェントにおける「第二新卒歓迎と記載がある求人」の数は、2014年から2022年の8年間で、約30倍に増えたとのこと。第二新卒を積極的に採用する企業が増えていることがわかります。
実は、新卒や経験豊富な中途採用とはまた違う「第二新卒ならではの市場価値」があるのです。採用側の企業にとって、第二新卒の何が魅力的なのか。この市場価値を理解した上で自身をアピールすることで「採用したい」と思われる人材に一気に近づくことができます。
転職成功のために、まずは市場価値について深堀していきましょう。
【参照】
株式会社リクルート
『Z世代(26歳以下)の就業意識や転職動向』
https://www.recruit.co.jp/newsroom/pressrelease/assets/20230830_hr_01.pdf
転職に有利!第二新卒の「市場価値」
転職活動の準備を進める際に知っておきたい、第二新卒の市場価値について解説します。
新卒に比べて教育コストがかからない
第二新卒の市場価値の一つが、新卒の社員と比べて教育にコストや時間がかからない点です。
新卒で入社すると、多くの企業が研修で基本のビジネススキルやマナーを教えてくれます。第二新卒は社会人経験が浅いものの、その多くが社会人としての基本的な振る舞いを身につけている状態といえます。初歩のビジネススキルといえど、教えるにはコストや時間がかかるもの。よって、これらを省けるといった点で市場価値が高いのです。
転職活動における面接は、自身のビジネス・マナースキルを発揮できる絶好のチャンスです。話し方や振る舞いに注意し、基本のスキルが身についていることをアピールしましょう。
業界や職種に染まっていない
ビジネススキルの他に「会社に馴染めそうな人材か」というのも、採用側にとって重要な判断材料になります。
社会人経験が長いほど、良くも悪くも業界や業種、企業の風習に染まりがちです。「この業界はこういうものだ」「前職ではこうだった」という固定概念があると、転職先で周りの社員となかなか馴染めない可能性もあります。
対して、社会人経験が浅い場合、会社のやり方を素直に吸収できる柔軟性が武器になります。仕事を一から学ぶ姿勢や、業務に柔軟に対応する姿勢は企業からも重宝されるため、市場価値があるといえるのです。
第二新卒が内定獲得するための「成功ポイント」
第二新卒が内定を獲得するためには「熱意」をいかに伝えられるかが成功のカギとなります。
第二新卒採用において、企業がポテンシャルを重視している傾向があることがわかっています。厚生労働省の調査によると、第二新卒の採用基準ではおよそ6割の企業が「熱意・意欲」を重視しており、次いで「コミュニケーション力」「協調性」が続くという結果になりました。一方「実務経験」「資格」重視は約1割にとどまり、経験やスキルより潜在的な能力が重視されることがわかります。
企業への熱意や仕事への意欲を伝えるには、企業研究と自己分析が欠かせません。自己分析では、とくに以下を明確にしましょう。
- なぜ転職することになったのか
- 理想のキャリアは何か
- どのように成長していきたいのか
これらを分析することで、志望動機に一貫性が生まれ、転職への強い意志を伝えることができます。企業の求める人物像を理解し、自分の想いを言葉にすることが内定獲得への近道となるのです。
【参照】
厚生労働省
『若年者雇用を取り巻く現状』
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12602000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Roudouseisakutantou/0000065181.pdf
不安を自信へ!転職で掴む「理想の自分」
入社してから短期間で転職することは、第二新卒にとって負い目を感じやすいものです。しかし、今や新卒入社数年での転職は珍しいものではなくなりました。第二新卒は今、ポテンシャルの高い人材として企業に求められているのです。
第二新卒ならではの市場価値を知り、自身の潜在能力をアピールすることで、企業に自分の強みを効果的に伝えられます。転職は環境の変化だけでなく、キャリアアップの大きなチャンス。理想の自分に出会うため、転職成功への一歩を踏み出しましょう。
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